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女装の世界・ナレッジ

【女装の世界】女装界とは何か?女装が特異だった時代に必要だったコミュニティ。拡大するニュー女装界。



女装界とは何か?
今一度ここで定義しておこうと思う。

あるようでないような女装の世界。
いや、確実に存在する女装の世界。

女装界という、あるようでないもの。
ないようであるもの。
これまでの中心的女装世界観を形成してきた「女装界」
その変遷を語りながら、女装界とは何かを語っていくことにしました。

こんな方におすすめ

  • 女装の世界について知りたい方
  • 女装初心者の方
  • 女装やってるけどコミュニティにはまだ行ったことがない方
  • 女装コミュニティの住人だけど、この世界についてスッキリしたい方etc

女装界とは何か?と聞かれたときに、
あなたはなんと答えますか?
本記事では、その女装界を言語化し、定義してみました。
女装の世界をちょっとだけひもといてみたよ💛

 

女装界、マジョリティミックス、マジョリティ、ニュー女装界がある

女装界を定義するにはまず、
女装界がこの広い広い世間においてどのような位置づけで、
相対的にどのような特徴があるかを述べたほうがわかりやすい。

ここで女装界を説明するのに最適な4つの社会。
女装界、マジョリティミックス、マジョリティ、ニュー女装界を
説明したいと思います。
人種、場所、その特徴の3つでそれぞれの世界を定義してみます。

女装界とは?

女装界の人種・場所・特徴

<人種>
趣味女装子さんが多数。
その女装子さんと遊びたい純男さんが多数。
基本的に「女装に理解がある」ことを前提とした社会。

<場所>
公園・映画館・女装ルームなどといった「女装ディープスポット」や
女装専BAR・女装イベントなどが中心コミュニティ。

<特徴>
アンダーグラウンド。
一般社会とはかけ離れた独自の世界観がある。
1960年代~現在まで女装カルチャーの中心的世界は
この女装界。

女装がアンダーグラウンドな趣味だと言われていた
2000年代前半まではほぼこの女装界が中心でした。
いわゆる一般的に「女装界」と呼ばれるのがこの世界で、
基本的に「女装に理解があることを前提とした」人間同士が形成する社会です。

非常にガラパゴスな独自の文化や風習が形成されており、
初心者が挫折しやすい一面でもあります。
その一方で、女装歴を基軸とした「タテ社会」のようなものが
形成されており、女装界の人同士は非常に結びつきやすい傾向にあります。

2000年代前半までは、「女装をして人間関係を作る=女装界に参入する」でしたが、
近年、後述ニュー女装界の出現で、新規参入人口が減少傾向にあります。

この女装界の中の一部から、進んでマジョリティとのタイアップイベントを仕掛けたり、
ニュー女装界とのパイプラインをつなぐなど、合流する動きも出てきています。

女装界は縮小の一途をたどっています。
その影響か、女装界の中心コミュニティであった、
女装ルームや女装専BAR、映画館は近年、閉鎖が目立ってきています。
(※映画館は施設老朽化の側面のほうが大きい)

またコンプラ社会、ポリティカルコレクトネスが求められる社会の影響からか、
アンダーグラウンドな側面を多く含む女装界のコミュニティは淘汰の運命をたどりつつあります。
とはいえ、まだまだ女装界隈といえばこの「女装界」が中心的世界観を形成する社会であり、中心的コミュニティであることは間違いありません。

 

 

ニュー女装界とは?

ニュー女装界の人種・場所・特徴

<人種>
若い世代が中心で、女装界に根差さないものの、
twitterなどのSNS上でマジョリティの社会にも根差しながら、
「男の娘」「女装男子」などといった「女装している男性アイデンティティー」
を前面に押し出す女装子さんが中心。

<場所>
中心的コミュニティはディープではない、一般的な場所。
あるいは、SNSで知り合った同士のオフ会など。
基本的にはマジョリティスポットも、女装スポットも
関係なしに出入りする。ディープスポットにはあまり行かない傾向があるが、
「観光目的」で行く場合もある。

<特徴>
若い世代が中心で、中心はSNSツールでのコミュニケーション。
女装界が独自の「社会」をマジョリティとは別に形成している点と異なり、
マジョリティの社会の中で、女装コミュニティを形成している。
そこが圧倒的にこれまでの女装界とは異なるため、
「ニュー女装界」としている。

2008年ころから急激に成長を遂げているニュー女装界。

女装の女神K
これセンター試験に出るよ。(出ないよ)
女装界:マジョリティ(一般社会)とは独立した女装に理解のある社会を形成
ニュー女装界:マジョリティの中で女装に理解のある社会を形成

おもに若い世代が中心で、インターネットの普及とSNSの普及により、
これまでの潜在女装子さんの女装スタート障壁が大幅に下がったことにより、
ディープな女装界ではなく、ライトな女装、「ゆるく女装でつながりたい」という次世代的な人間関係構築法で成り立っている人間同士の社会。
きっかけはゆるい人間関係でありながら、真の友情を築く間柄も存在している。

コミュニティも、女装界が映画館や公園などのディープスポットであるのに対し、
基本的にはtwitterなどのオンライン上や、オフ会といった独立した個人の集合体が各地に点在しているような感じ。
また、ツイキャスなどの生配信で配信しあうなどの「キャス仲間」いった具合のインターネットを中心的交流媒体とした社会が形成されている。

マジョリティの中で形成されているため、女装界では考えられないような、

・B面の写真とA面の写真を同時公開する
・男性時の職業や名前を堂々と公開する
・男性時の写真も堂々と公開する

などといった行動も見られる。つまり、「私」というアイデンティティーがたしかにあり、
そのアイデンティティーが女装したり男装したり(男性モード)という女装アイデンティティーが主流。

女装界とニュー女装界の比較

<アイデンティティー>
女装界:B面とA面は完全分離がほとんど
ニュー女装界:区別がなく、私というアイデンティティーが
1つ大きくありそのアイデンティティーが女装するというカンジ

<コミュニティ>
女装界:公園、映画館、女装ルーム、女装専BAR
などのアングラなスポット(ディープスポット)か
女装専か女装理解が絶対に担保された女装イベント
ニュー女装界:ネット上SNS、オフ会、一般の普通の場所

<世代>
女装界:35-45歳がボリュームゾーン
ニュー女装界:20-30歳がボリュームゾーン

 

 

LGBT・セクマイ界とは?近いようで、めちゃくちゃ女装界とは遠い世界

世間では、女装とトランスジェンダーを近似値の高い概念として
扱っているが、女装界はLGBT界とは非常に遠い。

遊びで女装をやっている女装界の人々と、人生の中で女性として社会に認められたいGIDさんとは、
その「女装」に対してベクトルが違いすぎる側面があり、多くの場合、GIDさんは初期に女装界に根差すものの、
その女装界が嫌になり、女装界から距離を置く事例が枚挙にいとまがありません。

GID・MtFたちからすれば、「女装じゃねえよ、一緒にすんなよ」という思いを抱く人も多いでしょうし、
でも一般社会から見れば、「男性が女性になりきる」という側面で
同一視してしまう傾向にあり、トランスジェンダーの理解の難しさの一因になっています。

基本的にLGBT界の基本思想は「一般社会に理解を求める」「一般社会のジェンダーを私たちの思うジェンダーに適用してほしい」
というのが根本概念なので、当然マジョリティミックスな形になります。

↓混ざってるでしょ↓

 

 

一般社会との接点が「マジョリティミックス」

これまでは完全に一般社会とはほとんど独立してきた「女装界」が、一般社会(マジョリティ)と積極的に接点を
持つようになってきています。

これは2010年ころからの「男の娘ブーム」や、「女装子の流行語大賞ノミネート」
「芸能界の女装ブーム」など女装という概念が一般社会に溶け込んできているため、
一般社会側が女装カルチャーの中心的世界である「女装界」に興味を持ち始めている側面と、

ニュー女装界の拡大などで、女装が一般社会に「特異な概念」としてではなく、
「一般的な概念」として理解されつつあることが影響しています。

女装専BARがマジョリティのお客様を取り入れたり、
逆にマジョリティのBARが女装人を取り入れたりする動きも広がってきており、
女装界と一般社会の接点=マジョリティミックスが拡大してきているのです。

イメージとすれば、これまで独立していた女装界が一般社会の中に溶け始め、境目がなくなってきているようなカンジでしょうか。

このマジョリティミックスは女装のフラット化の
象徴的な現象です。

男女ジェンダー崩壊時代の女装トランスジェンダー論。自分に正直に生きることで報われる未来はすぐそこに来てるかもしれない。

トランスジェンダーとして生きるなんてやめたほうがいい フルタイム女装なんて人生を棒に振る 女装やトランスヴェスタイトは遊びでこそいいんだ なんて声が、多数を占めていますし、私もどちらかというと、 「女 ...

つまり、最初の質問に戻って、
女装界とは何か?
と聞かれたら、
私は、女装界とは、
女装が特異な概念であった時代に必要だった
「マジョリティとは独立したアンダーグランドな趣味の女装の世界」
と答えます。

女装が特異であった時代(1960年~2000年代前半)に、
一般社会とは隔絶して存在せざるをえなかったクラシックな
女装者のための社会だったのです。

それが2008年以降のSNSの普及や、女装の概念の一般社会への普及で、
必ずしも女装者が一般社会と隔絶して女装をする必要がなくなったがために、縮小している社会だということです。
要は、これまでの女装カルチャーを支えてきた中心コミュニティ=女装界がその役目を終え、変遷の時を迎えているということです。

今後、ジェンダーレス化が進み、進んだLGBT教育を受けた世代が20-30代を迎えたとき、女装界は本格的にその役目を終えるでしょう。

とはいえ、消滅するのではなく、マジョリティの中に溶け込んでしまうということです。
とはいえ、「女装」という共通項で接するコミュニティは存在するでしょうから、
マジョリティの中に根差した女装コミュニティ=ニュー女装界が今後も拡大し続けるでしょう。

つまり、女装界はその役割を終え、ニュー女装界へと次の女装中心コミュニティのバトンを渡すのです。

いかがでしたか?みなさんの考える女装界ってどんなのですか?
何かいろんな意見があればコメントくださいませ💛最後までお読みいただきありがとうございます。






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