今回は、元ニューハーフの今では男性で商社マンで生きる「男性」のお話。
私が2016年頃フルタイム女装実験をしていた頃にその元ニューハーフ商社マンにたまたま出会ったときのお話し。
バブル時は東京新宿のニューハーフとして月収100万円を稼ぎ出していた元ニューハーフ。
そんな彼がバブルが終わりきっぱりとニューハーフをやめた理由とは?
「女装はお遊びよ。私の周りは10年で残るのは3割だったわ。」
彼が語るのは女装界の厭世ではなく現実的な解だった。
バブル時代は月100万円稼ぐニューハーフだった、現在男性として生きるチェイサー
元ニューハーフの商社マンは現在、東京の土木建材などの商社で
働くマネージャークラスだ。 年齢は50代。
40代でマネージャークラスといえば、サラリーマンでいえば出世頭。
男性サラリーマン人生としては順風満帆な人生を歩んでいる男性だ。
その風貌はこぎれいなイケメンといったカンジ。
そんな男性から出た言葉は、「私、元ニューハーフなのよ」
たしかにそういわれるともしゃべり口調も若干女性っぽく振る舞いも
男性っぽいというよりかは女性的なやわらかさがある男性だ。
私は某所のひとけ偵察で東京某所でレポート中、友人と談笑していたのだが、
この元ニューハーフ商社マンともお話できた。
その中で、その商社マンが元ニューハーフであることを知った。
その商社マンは新宿某所のニューハーフBARで
1990年、まさに日本のバブル景気時、
ニューハーフキャストとして働いていたらしく、
月収は100万円を超えていたらしい。
「バブル時は月収100万円超えるなんて普通だった。
何かやればおこづかいで1万円をすっと胸にいれてもらえた。
帰りのタクシー代としてさらに3万円。
お店の日収で2万円。1日入るだけで5,6万円はポケットに入ったわ。」
「私は学生時代の19才から
ニューハーフの世界に入った。
化粧をしてみたらかわいくて。
当時先輩に連れて行ってもらったニューハーフバーのママに
「あんたもニューハーフになれば?稼げるよ」
と言われ、興味本位ではじめたらあまりにお金がいいからハマっちゃって。」
バブル景気は、景気動向指数(CI)上は、
1986年(昭和61年)12月から1991年(平成3年)2月
までの51か月間に、日本で起こった資産価格の上昇
と好景気、およびそれに付随して起こった社会現象とされる。
情勢自体はバブル経済と同一であり、
平成景気(へいせいけいき)
や平成バブル景気(へいせいばぶるけいき)とも呼ばれる
懐かしむようにバブル時代の話をしていた。
「ニューハーフキャストはとてもいい時代だった。
まだニューハーフ自体が世の中に浸透していなくて、
ニューハーフというだけで付加価値がついた時代。
みんながお金をばらまくような時代だったらから
もの珍しいわたしたちニューハーフにはバンバンお金が流れたわ」
今では考えられない話だ。
当時バブル時代のニューハーフパブやラウンジは、
いわゆる「座るだけで3,4万円」のお店も
東京銀座、関西でいえば大阪北新地に存在した。
「今の子はかわいそうね。ニューハーフっていうだけでは十分な
付加価値にはならないじゃない。
テレビや一般人でも最近は「女装」を口走る時代。
普通じゃ稼げないのよ。
私らの時代はニューハーフっていうことが
普通じゃないからそれだけで稼げた。
大げさかもしれないけど本当にそうだった。」
そして元ニューハーフ商社マンからはバブルを凝縮したような言葉も聞けた。
「私たちは稼いだけど、その分使ったねぇ。
使った分また稼げる、みたいな。
この頃は2,3ヶ月入っていれば
何百万とまとまったお金が入るから
SRSやったり美容整形やったり・・・
それでまたキレイになって稼ぐっていう正の連鎖が起こってたわ。
私も豊胸手術したもの。笑」
バブル崩壊で「これで終わり、次にいく」と決めた。
バブル経済もそう長くは続かず、バブル経済は崩壊した。
そのとき、飲み屋から派手な人たちがさーっとひいていくのを目の当たりしたといいます。
「そりゃもう。本当にわかりやすかった。
本当に引き潮を何倍速も早送りしたようなカンジで
人がさーっと町から引いていったわ。
当然お店もヒマになってねぇ。
でもニューハーフたちは自分たちの魅力で
お客さんがきているとおもってたから・・・
1ヶ月くらいは強気に営業してたけど・・・」
バブル崩壊後、お客さんは4割ほど減ったという。
連絡がつかなくなったお客さんも結構な数いたらしい。
元ニューハーフ商社マンの決断は本当にはやかった。
「バブル崩壊して1ヶ月くらいかなぁ。
もうニューハーフをやめようとおもってお店をやめました。
やめて次の日に豊胸していた胸も除去手術して。
妙に冷静だったなぁ。
それで、男性としていわゆる普通の昼職?でどこか入れないかなぁとおもって
とりあえずハローワークにいきました。当時27歳。」
19歳からはじめたニューハーフ業を8年ですぐにやめられる決断力がすごい。
豊胸した胸もすぐに除去し、さっそく就職活動にはいったという。
女性として働くことは考えなかったのか?
「わかっていたの。年を重ねるにつれ、
私達のようなニューハーフは消えていくの。
若い子はどんどん出てくる。
私達は若いうちはちやほやされるけど、
若い子が出てくると、消えるのよ。
本当に短い周期で人が変わる。
19歳で業界にはいったけど・・・
8年後の27歳のとき、
7割は消えていた。
それをみると私も今がやめ時だと思った。」
冷静な目で当時を分析したいたという。
「女性として働くなんて考えなかった。
これでやめ!!と自分の中の強い意識があったの。
趣味で女装を続けるという選択肢もなかったなぁ。
とにかくこれで私の女人生は終わり。
はい、つぎ!ってカンジだった」
そこまで冷静にしかもいさぎよく女装をやめられることが
私には信じがたいことだった。
なぜ元ニューハーフ商社マンはそこまで冷静に潔く女装をやめられたのだろう。
なぜすぐにニューハーフをやめることができたのか? もう30年か。決断は間違ってなかった。
就職活動をしてすぐに今勤める土木建材の商社に就職が決まったという。
2,3年は必死に働いたらしい。
そのあいだ、元ニューハーフ商社マンは業界に純男=チェイサーとして残ったという。
新宿東口、上野オークラなど女装さんたちが集まる場所に
仕事のない週末などに顔をだしては、まさに今クリハラとお話するかのように世間話などをしていたという。
すると突然元ニューハーフ商社マンは私にこう質問してきた。
「あなた今何歳?」
もうすぐ30代突入で、今はフルタイム女装をして女性として生活していることを告げた。
(取材時、私はフルタイム女装実験を行っていた)
フルタイム女装の話は「私がハマった女装沼」シリーズがおすすめ!
女性生活に入る前は男性としてサラリーマンをしていたことなど私の女装人生を語った。
すると元ニューハーフ商社マンは・・・
「ニューハーフとして純男としてこの業界にもう30年いる。
そうね、10年。10年で周期がくる。
10年前の知り合いの女装子さんやニューハーフさんはもういない。
そのまた10年前もそうだった。 今、私が知り合いの子たちもきっと・・・」
「あなた、男に戻りなさい。女装は遊び。お遊びでやりなさい。」
元ニューハーフ商社マンによると、女装は本気でやるのはだめらしい。
女装はあくまで遊びなのだと。
なんだか妙な説得力に、私が実験でフルタイムを行っていることなどは
あえて言わなかった。
しかしである。
「本気じゃないのよあなたは。本当に女性になりたいの?
私の目にはそう映っていないの。
本気で女性になりたい気持ちがないなら、男性として生きなさい。
その中で趣味で女性を解放しなさい」
完全に見破られとるwwwwwなんじゃこの人はwwww
元ニューハーフ商社マンは、
女装で生きることすべてを否定していないという。
あくまで「本気で女性として生きるつもるがないのならば、
それが生業になることはない」というのだ。
「さっき10年で私の周りから女装子さんが消えるっていったけど・・・
消え方には2種類あるのよ。
女性になって社会に溶け込むから女装界から消える人。
女装で人生を台無しにして生活基盤が傾いて消えていく人。
本気で女装する人は前者よ。
あなたは本気じゃない。だから後者よ。 考えなさい。
本気じゃないと、女装だけじゃない。
この世界は、本気じゃないと生業にはならないのよ。
そんな甘いものじゃない。 こうして出会ったのは何かのお導き。
男に戻りなさい。
女装はお遊びよ。もう十分楽しんだでしょ?」
「本気じゃないなら生業にならない。」
この言葉が私の心の中で何度も反芻された。
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本気じゃないなら生業にはならない。
本気じゃなければ生業にはならないのだ。
女装で生きていくも自由。
女装を趣味にするも自由。
しかし、わたしたちは 生きていかなければならない。
元々裕福な家庭に生まれたのであれば一生遊んで暮らせる。
正直業界にはそのような女装子さんニューハーフさんも一定数存在する。
そのような方は一生遊んで暮らせばよいのだ。 暮らせるのだから。
でも、多くは、何らかの仕事でお金を稼ぎ、年を重ねながら、
生きていかなければならないのだ。
年を重ねていく。
アルバイトのかけもちの不安定さ
飲み屋の不安定さ
体力が減少していく フルタイム女装者で、不安定な生活をされている方は考えていただきたい。
これらを乗り越えられるのだろうか?
おまえは本気なのか?
本気じゃないならやめちまえ
その元ニューハーフ商社マンは、
私に人生の先輩としてそう語っているように思えた。
決して女装人生を否定されているのではない。
人生に対する本気度を問いかけられたような気持ち。
人生は1度しかない。
でも女装で人生を100倍楽しんでいる。
この女装を人生でどのような位置づけにするのか?
考えさせられる都内某所だった。