女装をして10年以上たっている私ですが、
10年前の女装界と現在の女装界じゃ、もう全くその様相が違うことに驚きます。
今のスタンダード(普通・基準)って、スタンダードだからこそ、
それが過去と比較したときのすごさやありがたみを見落としがちです。
私の座右の銘は「過去とはどうでもいい」
なのですが、それには例外があって、
「現在や未来を肯定的にリフレーミング(再定義・意味づけ)できる
過去は意味がある」と思っています。
ということで、女装界の10年前と現在で大きく変わったこと6選。
■女装界の10年前と現在で大きく変わったこと6選
スタンダードって音もたてずに変化するんですよねー。
10年前の初心者女装子さん
「とりあえず女装ルームか公園かなぁ」
↓
今の初心者女装子さん
「ツイッターで女装子さん見つけてみよ💛」
スタンダードって「当たり前にある」ものなので、
スタンダードの変化=当たり前の連続性
なので、気づきづらいんですよ、スタンダードの変化って。
「考えてみたらたしかに変化してるなぁ」くらいのもんです。
だから、10年で、ほとんどの人をカメラマンにした
スティーブジョブスのアイフォンはすごいわけで。
では、女装界ではどうなのでしょうか?
■女装SNSがtwitter・インスタ・FBになった
これは大きな変化です。
10年前といえば、まだまだ女装=人に言えないヘンタイ趣味
という考え方も多かったので、
アングラな側面が多かったわけです。
なので、web2.0以降のSNSブームが起こっても、
女装コミュニティのSNSは女装専SNSが中心でした。
今でも女装専SNSは稼働していますが、
明らかにアクティブユーザー数は減少しています。
そうです。ご存知の通り、女装SNSは今やtwitterになっています。
インスタやFBでノンケミックスなコミュニケーションを楽しむ層もいます。
ツイッターは10年前にもありましたが、
マジョリティが主要ユーザーであるツイッターに
アングラな女装人が進出するなんて考えすらしませんでした。
以前は、女装人同士で仲良くなると、
「女装専SNSやってる?」
となっていました。
でも今じゃ「ツイッターやってる?」ですからね。
一応、私も女装専SNSのアカウント持ってますけど、
もう開いてすらいません…。
ツイッター中心の■ズたまに
やっぱり人が多いほうに集まるわねw
■女装界と一般社会のコンプラ・モラルが一致するようになってきた
社会のグレーゾーンクレンジング・ホワイトニング化の流れで、
マジョリティミックス化する女装界にもその流れが押し寄せてきています。
法令順守(コンプラ)の流れで昔は許されていたことが
許されなくなってきている現象。
たとえばパチンコの出玉規制とか、残業禁止とか…
「まぁ違法っちゃ違法だけど、わかっちゃいるけど許してよ」っていうのが
許されなくなり、グレーゾーンが完全白黒はっきり化されてきつつある現象のこと
要は、「女装=隠すべき趣味」だった時代に一般社会(マジョリティ)とは
独立したアングラコミュニティが中心だった10年前が、
確実にマジョリティミックス化しており、
一般社会のモラルやコンプラ意識が、女装コミュニティにも流入してきているということです。
たとえば、
・男性が女装子さんをレイプしたとして、女装子さんが極めて
精神的苦痛を受けたとしてもレイプになることはなかった…
→今じゃ強制性行罪の成立もあり、普通にレイプ事件になりうる
・マンション運営型の女装ルームが、普通に通報される
→マンション運営型でお店をすることはできないが、
前は「個人の集まり」というのが通用していたが、
「実質お店だろ?規約違反」となり、追い出されたり
閉店に追い込まれるような事案が出てきている
この影響で、女装系のお店もコンプラ重視の営業が当たり前になってきています。
昔は、法令順守なんてできる範囲でやりゃいい・・・
という感覚がスタンダードでしたが…
■「化粧品・女性の服を買うのに困ってます」という悩みが皆無になった
10年前であれば、女装初心者の方などの悩みの中に、
・化粧品を買うのが恥ずかしい
・女性の服を買うのが恥ずかしい
・女装ルームなどに買い取り代行してもらわないと…
などという「女装アイテムの購入に関する悩み」がありました。
現在であれば、
「いや、そんなもんネットで買えばいいじゃんw」
なのですが…
スタンダードというのは音もなく変わるのです。
昔は違うかったんですよw
というのも、
出典元:https://www.yellowpadblog.com/entry/2016/11/25/BtoC_Ecommerce_MarketSize_PenetrationRate
2008年くらいのネット通販の市場規模って今の半分以下なんですよ。
実は、まだまだ2008年くらいって、
「ネット通販ってぶっちゃけまだ使ったことない」
「ネット通販なんてほぼ利用しない」
っていう人もいたんです。
今じゃ信じられないかもしれませんがね。
そのような女装子さんたちにとっては、
「ネット通販で普通に自分のほしい女装アイテムを買う」
という習慣がないために、
「男性である自分が女装用の女性アイテムを買うことへの抵抗感」
があったのです。
今じゃ、ネットでモノを買うなんて普通ですけどね。
考えてみれば、これも大きな変化でしょう。
■「毎月、どっかで女装イベントあるよなー」と、どの女装イベントに参加するか迷えるようになった
これも結構大きな変化です。
10年前の2008年といえば、「女装イベントなんて年に何回あるかないか」くらいのものでした。
2008年はカマコレやプロパガンダ初年度ですからねw
女装ファッションショーイベントの走り。毎回、300人以上の動員を記録する
人気イベント。
プロパガンダ:2016年に終了した毎月開催の新宿女装イベントだった。
でも今はどうでしょう?
都市部限定ですけど、毎月のように女装人が出入りするイベントがありますよね。
その規模の大小問わず。
むしろ「今月はどのイベント行こうかしら」と迷うくらいです。
当たり前のように女装人が出入りするイベントがたくさんあるスタンダードは、
10年前じゃありえなかった。
これも大きな変化ですね!
要因としては、
・イベントの開催数が多くなったことで、女装人にイベント開催のノウハウが
たまっていて、それが拡散されている
・集客ツールもSNSが普通になっているため、以前よりもコストをかけずに
できるようになっている
・女装がフラット化しており、マジョリティ(ノンケ)層を取り込むかたちでも
集客可能
などなどがあると思います。
女装イベントが当たり前にある現在。
これは10年前じゃ普通じゃなかったこと。
普通じゃない時代に、女装イベントを仕掛けてきた先人たちに感謝ですね!!
■オンライン活動だけでも女装を十分楽しめるようになった
10年前だと、女装をするとなると・・・
・公園に行く
・女装ルームに行く
・女装BARに行く
・掲示板で待ち合わせをして誰かと会う
など、「リアルの活動」がなければ女装を十分楽しめることは
無かった気がします。
チャットなどはありましたけどね。
でも、チャットだと、基本的に映像のやりとりがないために、
女装姿を見てもらえなかったり、ネカマ(ネット女装)に
なりすましたりできたので、
「女装が楽しい!!!」とはなりにくかった側面があります。
でも、今はどうでしょう?
無料でいくらでも生放送できますし、
twitterでリアルタイムでつながりながらゲームをしたりできますし、
ラインで映像をつなぎながらお話できたりするわけです。
要は、リアルで会わなくても、
リアルと同じように、顔を見て、声を聴いて、
コミュニケーションをとれるようになっています。
さらに、
さきほどのSNSの項でお話しましたけど、
そういうマジョリティのツールを使うのがスタンダードになっているので、
女装をしてオンライン活動だけでも、女装を十分楽しめる環境になっています。
女装した自分を無料で全世界に配信できるなんて、
10年前じゃある程度、ツールやパソコンのスペックや
ネット環境がないとできませんでしたからね。
今じゃ、スマホ一台でできちゃうわけです。
すっげー変化ですね💛
■20代女装子・男の娘が珍しくなくなった
10年前じゃ、20代の女装子・男の娘はめちゃくちゃ少数派でした。
厳密にいうと、可視化されている(顕在化している)20代女装子・男の娘が
少なかったということです。
これまでの項でも申し上げているように、
・アングラ中心
・リアル活動が中心
なのが10年前の女装界の遊び方でしたから、
「なんか怖い」
「不安」
っていう理由で、「女装は自宅のみでしているけど、女装コミュニティには出てきていない
潜在女装子さん」が非常に多かったのです。
また、仕事も忙しかったり、お金も時間も30代以上よりも少ない
20代の女装子さんが女装子コミュニティに出てくることはまず珍しいことでした。
もし出てきたとしても、10年前は20代の女装子・男の娘が少なかったので
「同世代がいない…」という寂しさで女装コミュニティから離れる方も多かったのです。
だから、私も19歳から女装して21歳くらいには女装コミュニティに出入りしているので、
当時年齢を聞かれて「21歳です」って言ったときは、
「はや!!!!!!!!!!!!!!!」
「ありえんwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
みたいな反応が多かった気がします。
それだけ、20代の女装子・男の娘は超少数派でした。
(ちなみに私はなぜか当時から30代くらいに見られていたので、
その驚きもあったみたいですが・・・・誰が老け顔だよw)
でも、今はどうでしょう??
ツイッターを開けば20代の女装子・男の娘がたくさんいますし、
普通に女装コミュニティに遊びにきますよね。
ニュー女装界なんて形成されるくらいですし。
要は、拡散性のあるツイッターというSNSが女装の中心SNSに
なったことで20代の多くの潜在女装子・男の娘が可視化され、
「おれも、おれも!!私も私も!!」と、
同調効果で、多くの20代女装子・男の娘が可視化=顕在化
していっているのです。
私も20代から女装したかったわ・・・
もはや20代女装子・男の娘は珍しい存在でもなんでもなくなりました。
でもこれ10年前には考えられなかったことです!!
■まとめ:スタンダードは音を立てずに変わる。実は今、次のスタンダードも音を立てずに変わっている。先人へのリスペクトが自然であるべき理由。
いかがでしたか?
10年前と今の女装界じゃ、
スタンダードがいろいろと変わっています。
10年前にスタンダードが変わり始めていたように、
このいまこの瞬間の毎秒毎秒、
スタンダードは変わり続けています。
そう、今のスタンダードは、
次の瞬間に次のスタンダードへの一歩になっている。
その音に気づいているか!!??
その音の一部にこの女装ワールドがなれればいいな💛って思いますし、
二度とないこの人生に、女装に出会えたこと。
少しでもポジティブな気持ちになってもらえたらうれしいな💛って思います。
スタンダードは当たり前の連続性。
でもそれを動かしてきたのは先人たちなのだ。
その当たり前を享受できることに感謝し、
先人たちに一定のリスペクトがあるのは自然な気持ちであるべきなのだ。
というのが私の持論。
これ、女装だけじゃなくてぜんぶに通じます。
靖国神社に参拝する気持ちもそうじゃないですか。
こんな女装ができて飯がうまい日本に住めてるのは、
英霊たちの命を懸けた行動のおかげ。
だから、感謝の気持ちを持つ。
会社だってそう。
成績を残すと一人で仕事をやっているような気持ちになりがちですが、
会社を形成しているのはみんな。
過去の社員や過去のお客様、今の株主今の従業員・・・・
そういう過去の集合体のおかげでもあるのです。
だから、感謝の気持ちを持つ。
やっぱり、女装って深いわ…
本日も長文お読みいただきありがとうございました。
何かの参考になれれば幸いです。